2017年活動報告・2018年活動方針

1.2017年度をふりかえって

昨年は、さまざまなところで識字・日本語活動に関わる人たちとの交流や教室活動を発信する機会に恵まれました。

 

2017年1月(2016年度)に開催された第3回識字・日本語学習研究集会 全体会・パネルディスカッション「社会的困難を生きる若者の学習支援を考える」に、パネリストとして学習パートナーが登壇し、教室活動や教室で大切にしていることを報告しました。

 

7月には、部落解放文学賞識字部門で佳作を受賞したAさんが表彰式後の懇親会で、どのような思いで作文を書き綴ったのかを自分のことばで語りました。

 

7月中旬には、日之出の教育NPO JUMPの取り組みである野外キャンプに学習者と学習パートナーがボランティアとして参加し、子どもたちの活動のサポートをしました。また、JUMPが企画する秋のハイキングや翔館中庭プロジェクトなどにも学習者・学習パートナーが参加し交流しました。

 

9月には、基礎教育保障学会第2回研究大会(大阪大会のシンポジウム「学習者によるリレートーク『学びは生きる力~学習者の生い立ちと願いに学ぶ~』」に学習者2人が登壇しました。1人は、当日参加できなかったので事前に作文を読んで録音したものを学習パートナーが紹介し、報告しました。

 

12月には、基礎教育保障学会・日韓識字交流の取り組みとして韓国から文解運動に関わる人たちが来阪しました。教室から学習者の1人が通訳ボランティアとして協力し、文解運動の人たちの大阪での活動をサポートしました。

 

2018年2月には、第4回識字・日本語学習研究集会がありました。分科会「識字・日本語学習の自主教材を考える~持ち寄ろう、つくろう!~」では、日之出よみかき教室(木曜日)の実践報告をしました。

 

教室活動をさまざまな場所で発信・報告したり、交流したりする度に、日之出よみかき教室(木曜日)がどのようなことを大切にしながら取り組みをすすめているのかを再確認することができました。

 

日々の教室活動では、学習者として参加していた人が、学習パートナーとして学習をサポートしたり、日本語を母語でわかりやすく訳して伝えたりするなど、学習者が一緒に参加する学習者の学習を支える姿もありました。また、学習者が他の学習者の経験を学習パートナーと一緒に聴き、うけとめ、励まし合う姿もありました。学習者・学習パートナーそれぞれが、できることをできる人ができるかたちで取り組み、教室運営をすすめた1年でもありました。

 

2.2018年度の活動方針

今年度も教室活動を発信したり、学習者や学習パートナーが教室や教室以外の場所でも活躍できたりする機会を大切にしていきたいと思います。また、日之出地区や地元学校関係者との交流、夜間中学や識字・日本語関係諸団体との交流もさまざまなイベントを通して大切にしていきたいと思います。

 

被差別部落の識字学級として1970年に生まれたわたしたちの教室は、開講当初と現在では参加者層は大きく異なります。かつてと「変わること、変わらないこと」は何か、また、これまで日之出よみかき教室が大切にしてきたことを守りながら多様な人々にひらかれた学びの場として何を大切にしていくのかを昨年は改めて考えました。そこで見えてきたことは、日之出よみかき教室(木曜日)は、これまで同様、

 

仲間といっしょに、

生活と結び、生活や生い立ちの意味を振り返りつつ学ぶということを大切にしていきたい。

 

学習活動は、さまざまな学習者のもつことばや文化、経験から出発し、学習者一人ひとりが自分の人生の主役になる応援をする「識字」でありたい

 

ということでした。 

 

今年度から、それぞれの活動を大切にし、広げていくために木曜日の教室と土曜日の教室は運営をそれぞれ行うことになりました。一緒に取り組みができる機会は協力していきます。新年度を迎えるにあたって、日之出よみかき教室(木曜日)では、教室活動で大切にしたいことを学習者・学習パートナーがともに考え、確認しました。次の3点になります。


 <教(きょう)室(しつ)活動(かつどう)で大切(たいせつ)にしたいこと>

(1)教室はみんなでつくろう

日之出よみかき教室(木曜日)は、参加者みんなで話し合い、考え、行動し、つくっていきましょう。

 

(2)お互いに「○○さん」と名前で呼(よ)ぼう

学習パートナーのことを「先生」や「○○先生」ではなく、ともに学ぶ仲間として「○○さん」と呼び合いましょう。

名前は日本語に合わせて発音するのではなく、それぞれが生まれ育った国や地域で呼ばれていた発音(母語)を大切にしましょう。

 

(3)生活に根ざした学習を中心にしよう

日之出よみかき教室(木曜日)では、検定に合格するための受験勉強を応援する学習ではなく生活に根ざした学習を中心に行います。N1、N2(日本語能力試験を中心に勉強したい人には、他の教室を紹介します。

 

これらを大切にしながら、学習者・学習パートナーが話し合いながら教室活動をすすめます。また、今年度は、教室活動以外での学習活動も予定しています。教室参加者がそれぞれ役割を担い、計画的にすすめていきます。